白噓とんこつは、噓風堂のもっとも普通の一杯だ。普通という説明を店主から受けた時、厨房の奥で誰かが小さく笑った気がした。店内には店主しかいなかった。

スープは白い。濃度はあるが重たくない。口に含むと豚骨の丸みが先に来て、後から醤油の輪郭が細く残る。よくできたラーメンだと思う。だからこそ、食べ終えた後に丼の底を見た記憶がないことだけが引っかかる。

麺は細麺で、硬さは選べる。バリカタ、普通、やわ、そして「聞かなかったことにする」がある。最後の項目はメニューには載っていない。隣の客がそう頼んで、店主がうなずいたのを見た。

具材はチャーシュー、青ねぎ、香味油。赤い油の浮き方が美しく、照明を受けて小さく光る。写真を撮ると、その光だけが毎回別の位置に写った。三枚撮って、三枚とも。

味そのものは誠実だ。怖がらせるための奇抜さはない。だが、誠実すぎるものは時々、こちらの不誠実さを照らす。噓風堂の一杯は、その種類の明るさを持っている。

会計時、店主は「いつものですね」と言った。初めてだと伝えると、少し考えてから「では、次から」と返した。正しい返事なのに、順番だけが合っていない。